頭痛
頭痛
頭痛には、原因となる器質的疾患を伴わない一次性頭痛と脳の病気などが原因で起こる二次性頭痛に分けられます。普段感じる頭痛の多くは一次性頭痛で、ストレスや生活習慣、姿勢などがきっかけで起こります。片頭痛や緊張型頭痛なども一次性頭痛で、脳の血管の拡張や、首まわりの筋肉の緊張で血行が悪くなることによって起こると考えられています。片頭痛は、頭の片側(または両側)が脈打つようにズキズキと痛み、ときに吐き気を伴うことがあります。光や音に敏感になる症状も現れることがあります。緊張型頭痛は後頭部、こめかみ、ひたいを中心に頭重感や圧迫感、または締めつけられるような痛みがジワジワと発生し、しばらく続きます。それぞれに合った治療法や治療薬がありますのでご相談ください。一方、二次性頭痛を引き起こす病気には、くも膜下出血、脳腫瘍、脳血管障害など危険なものもあります。今までに感じたことのない激しい頭痛が突然生じたり、手足の麻痺・しびれ・けいれん、激しい嘔吐や高熱などを伴ったりする場合は、すぐに医療機関を受診してください。
日頃から慢性頭痛に悩まされている人、いわゆる「頭痛持ち」は日本人の3人に1人くらいとみられます。慢性頭痛にもいろいろありますが、一番多いのが「緊張型頭痛」で、次に「片頭痛」、その他「群発頭痛」などがあります。
痛みの程度は片頭痛に比べて軽く、頭が重く圧迫されるような、グーッと締めつけられるような痛みがあります。重だるいと表現される方が多いです。一般的に30分~7日間持続します。生涯有病率は30~78%の範囲と言われています。頭痛の起こり方も、漠然とした頭の鈍重感に始まり、1日中持続する傾向があります。
このうち2つ以上を満たすと診断されます。
約9%の有病率と言われ、30~40歳代の女性に限ると20%は片頭痛持ちです。
原因は研究中ですが、『大脳の深い部分にある間脳あるいは脳幹と呼ばれる器官の付近の異常興奮』と考えられるようになってきています。つまり片頭痛は「中枢神経疾患」であると考えられています
まずは、自分の片頭痛を起こす誘因をつかんでおくことです。一般的な誘因としてはワインやチーズが有名ですが、患者様によって様々なものがあります。
週末に頭が痛くなる人で、「寝過ぎ」が誘因と考えられる場合は、いつも通りに早目に起きることです。外出時に片頭痛の起こる人は、車や人の流れ、騒音、まぶしさなどが誘因となります。特に光に過敏な方は、あまり濃い色ではないサングラスをかけるとよいでしょう。
片頭痛の防止には、これらの誘因を避けることですが、頭痛が起きた場合は、できるだけ安静にすることです。暗い部屋に横たわり、眠ってしまうことが一番です。
トリプタン製剤(商品名;イミグラン・マクサルト・レルパックス・アマージなど)の内服が著効することが多いですが、これらの薬は内服するタイミングが難しいという欠点もありました。最新の片頭痛用製剤(商品名;レイボー)は、タイミングを気にせず内服しても効果が出やすくなっています。
頻度が非常に多い場合(月に6回以上)には、抗てんかん薬のバルプロ酸ナトリウムや降圧剤として使われるCa拮抗薬、抗うつ剤のアミトリプチンなどを予防薬として内服することも有効です。また最近では、抗CGRP抗体製剤という注射剤の登場により、一ヶ月程度に一回注射を打つことで頭痛の頻度や強さをコントロールしやすくなってきています。
ご所属されている企業・健康保険組合の中には、1か月間の医療費の自己負担額が設定された上限額を超えた際に、超過分の費用を払い戻す「付加給付金制度」が導入されている場合があります。
片頭痛治療に使用される抗CGRP製剤(エムガルティ/アジョビ/アイモビーグ)など一部の高額な薬剤による治療を受けた場合、付加給付金制度の対象となる場合がありますので、一度ご所属の保険事業所等にお問い合わせ頂くことをお勧めいたします。
群発頭痛の有病率は、0.056%~0.4%程度(1000 人に1人程度)と報告されています。
20~40 歳代の男性に発症することが多く、男性における有病率は女性の3~7倍です。
毎年決まった時期にまとまって起こる頭痛で、激しい痛みが特徴です。眼窩(がんか)周辺から側頭部にかけて、短時間のえぐられる様な激しい痛みが起こります。数週から数ヶ月の群発期間中、毎日出現する頭痛で、夜間・睡眠時などの決まった時間に頭痛発作が起こりやすいのが特徴です。
眼の後ろ側を通っている内頸動脈が拡張して炎症を引き起こすため、目の奥が痛むことが多いと言われています。
頭痛以外に①もしくは②を満たすと診断されます。
群発期には少量のお酒を飲んだだけでも発作が起きるので、期間中は控えることです。
また、痛みが起こると薬は効かないので、決まった時間に発作が起こる場合は、その前に予防薬(バルプロ酸など)を飲むことです。100%濃度の酸素吸入で痛みを抑えることもあります。
突然の強烈な痛みや徐々に増強する痛み、手足の麻痺や言葉のもつれなどを伴った頭痛などは命に関わる頭痛の場合があります。特に「これまでに経験したことのない突然の激しい頭痛」ならば即、救急車で脳神経外科を受診することをおすすめします。
脳の動脈のこぶ(動脈瘤)が突然破裂し、脳を覆うくも膜下に出血するもので、急に、頭が割れるような激痛が出現するのが特徴です。続いて吐き気やおう吐、意識低下などが起こります。40歳代以降に多く、発作の数日~数週間前に、前兆となる軽い頭痛が起きることもあります。
多くが高血圧を原因として脳血管が破れて出血し、急に頭痛が起きて短時間で痛みはピークに達します。頭痛は軽くても手足の麻痺や、言葉のもつれ、吐き気やめまいなどを伴うことが多いです。
脳にできた腫瘍が大きくなるにつれて、痛みもだんだんと強くなります。できた部位によっては、手足の麻痺や視力障害などが出ます。
ウイルスや細菌の感染が髄膜に及び、高熱とともにズキンズキンという激しい頭痛が起こります。首の後ろが硬くなるのも特徴です。炎症が脳まで及ぶと脳炎となり、麻痺や意識障害が起きます。
頭をぶつけたことが原因で、頭蓋骨の下にある硬膜とくも膜の間に徐々に出血がたまり血腫となり、1~2ヶ月後に血腫が脳を圧迫して頭痛や麻痺を生じます。特にお年寄りに起きやすく、ぼんやりしたり、物忘れや尿失禁なども出たりして認知症に間違われることもあります。血腫を取り除く手術をすれば、症状はなくなります。