片頭痛の病期について
- 2025年5月1日
- 頭痛の種類
片頭痛の病期
片頭痛には「病期(びょうき)」、つまりいくつかの段階があり、大きくは4つの段階があると言われております。(すべての人が全ての段階を経験するわけではありません)
同じ「片頭痛」という診断についても、いつも症状や状態が同じではない可能性があるということを、診察する医師も患者さんも理解することでよりその時々に適した治療に臨むことができるのではないかと考えています。
片頭痛の各段階について詳しく説明します。うつ症状についても触れますが、確かに片頭痛の発作は精神的な症状を引き起こすこともあります。
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1. 前兆期(予兆期)
◎ 症状:頭痛が起こる前に感じる体調の変化。片頭痛の兆しとして現れることが多いです。
・疲労感:普段よりも極度に疲れやすく感じる。
・気分の変動:気分が急に落ち込んだり、イライラしたりすることもあります。
・集中力低下:何かに集中するのが難しくなることがある。
・食欲変化:食べ過ぎたり、逆に食欲が減ることもあります。
・うつ症状:この段階で気分の落ち込みや不安感を感じることもあります。うつ的な感情の変化が前兆として現れることがあり、特にうつ病の傾向がある人には注意が必要です。
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2. 前兆(オーラ)期
◎ 症状:頭痛が始まる直前に現れる一連の神経的な症状。これも片頭痛の特徴的な症状です。
・視覚の異常:閃輝暗点(せんきあんてん)という視界の中にキラキラした光やジグザグ模様が見えることがあります。
・しびれ感:手足、口周りにしびれが出ることもあります。これは片頭痛に伴う神経症状の一つです。
・言葉のもつれ:話すときに言葉がうまく出ない、または理解しにくくなることがあります。
・精神的な症状:うつ症状や不安感、焦燥感を感じることもあります。これらは片頭痛の前兆として、精神面でも影響が出ることがあるため、気分の変化にも注意が必要です。
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3. 頭痛期(発作期)
◎ 症状:最も強い頭痛が現れる段階で、片頭痛の特徴的な痛みが感じられます。
・片側性のズキズキ:片方の頭がズキズキと脈打つような痛みが続きます。痛みは数時間から最大で72時間続くこともあります。
・吐き気・嘔吐:頭痛に伴って吐き気を感じ、嘔吐することもあります。
・感覚過敏:音や光に非常に敏感になるため、静かな部屋で休むことが多いです。
・精神的症状:痛みがひどくなると、うつ状態が強くなることがあります。例えば、絶望感や無気力感、イライラなどの症状が現れることがあります。
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4. 回復期(後症状期)
◎ 症状:痛みが収まった後に現れる症状です。頭痛が治まっても、完全に元気を取り戻すには時間がかかることがあります。
・疲労感:体力的な回復には時間がかかり、非常に疲れた感じが続きます。
・集中力低下:頭がぼーっとして、集中力が続かないことがあります。
・うつ症状:頭痛が収まった後でも、気分が落ち込む、何もしたくないという気持ちが続くことがあります。この段階でうつ症状が現れることもあり、精神的に回復するのに時間が必要です。
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うつ症状との関連
片頭痛の患者さんの中には、頭痛が引き起こす精神的な影響が強い場合もあります。特に、片頭痛の発作がひどい場合、次のような精神的な影響を感じることが多いです。
• 気分の落ち込み:片頭痛が頻繁に起こると、予測不可能な痛みやその影響で不安や恐怖感を抱えることがあります。このため、うつ症状が強く出ることがあるのです。
• 絶望感や無力感:痛みや症状が続くことによって、日常生活に対する無力感や不安が高まることもあります。
• ストレスとの関係:片頭痛が慢性化すると、ストレスの蓄積や精神的な疲れが影響し、うつ状態になるリスクが高くなることもあります。
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もし、うつ症状や精神的な症状が強い場合は、医師に相談して適切な治療を受けることが大切です。片頭痛と精神的な症状の関係は深いので、早めに対処することが重要です。